研究分担者 |
西村 仁 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (80241347)
岡部 勝 大阪大学, 遺伝情報実験センター, 教授 (30089875)
岡村 直道 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (30134224)
中西 友子 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (10344863)
小倉 淳郎 理研バイオリソースセンター, 遺伝工学基盤技術室, 室長 (20194524)
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配分額 *注記 |
44,120千円 (直接経費: 37,100千円、間接経費: 7,020千円)
2002年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2001年度: 18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2000年度: 13,700千円 (直接経費: 13,700千円)
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研究概要 |
精子成熟から精子の子宮・輸卵管移動,受精,および受精直後の卵子活性化の諸過程での精子機能とその制御機構を発生工学的手法によって解析し,以下の研究成果を得ることができた。 1.精子の受精能獲得前後における精子細胞膜マイクロドメイン(ラフト)の変化について調べ,マウス精巣上体精子では受精能獲得にしたがってスフィンゴ脂質としてのラフトが精子赤道部から先体部へと徐々に移行することが明確となった。 2.精子ヒアルロニダーゼPH20の欠損マウスを作製・解析し,PH20が精子の卵丘細胞間マトリックス通過に必須でないことを明らかにした。また,ほかの精子ヒアルロニダーゼの探索を行い,精子アクロソーム反応で大量に放出される新規ヒアルロニダーゼを同定することができた。 3.マウス精子に存在する42キロダルトンプロテアーゼTESP5は,アクロソームマトリックスと膜に局在しており,トリプシン様プロテアーゼによって活性化されることが明らかとなった。また,TESP5は細胞膜マイクロドメインに濃縮されており,アクロソーム反応直後にアクロシンなどによって膜から活性化・放出されて,精子の卵子透明帯への接着・結合と脱着,あるいは精子と卵子の融合で機能していることが示唆された。 4.ADAM1aとADAM1bの局在と前駆体のプロセシング,および機能について調べ,ADAM1a前駆体は精細胞の粗面小胞体だけに存在しており,ADAM2やADAM3の分泌に関与している可能性が見いだされた。ADAM1b前駆体はゴルジ装置を経由して細胞膜に移行し,精子形成・成熟に伴って成熟型へと変化することが明らかとなった。また,ADAM1a欠損マウスの解析を行い,ADAM1a欠損オスマウスの不妊の原因は子宮と輸卵管のジャンクションでの精子滞留であることが明らかとなった。ADAM1aは精巣上体精子には存在しないため,子宮からの精子離脱に関与する分子群の機能制御を精子形成または成熟過程で行っている可能性が見いだされた。 5.ポリA鎖を付加したフォスフォリパーゼCゼータmRNAを未受精卵にインジェクションすることによって,前核が形成されることを確認した。
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