配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2001年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2000年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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研究概要 |
研究代表者らが光合成器官内に初めて見出した微量のクロロフィル(Chl)a'(ChlaのC13_2異性体)の存在数と機能サイトを確定することを目的として研究を進めた。まず,Chl類,カロチノイド・キサントフィル類,主要なキノン類のすべてをほぼ1時間以内に溶出でき,高感度に検出できるHPLC条件を初めて確立した。それを用い,高等植物,ラン藻,好熱性ラン藻など酸素発生型光合成生物につき,チラコイド膜および段階的にアンテナ色素・タンパク質複合体を除去した光化学系I標品を試料として,光酸化法または化学酸化法で定量したP700量,HPLCで定量したChla'と二次電子受容体(フィロキノン)の量をつき合わせることにより,すべての分画試料でChla'がP700あたり1分子だけ存在することを明らかにした。われわれがこの結論を得ていた2001年6月には,ベルリン工科大学の研究グループが好熱性ラン藻光化学系Iタンパク質結晶のX線構造解析結果を報じ,反応中心P700がChlaとChla'のヘテロ二量体であることを示し,Chla'の機能サイトが最終的に確定することとなった。 関連して,緑色硫黄細菌の反応中心近傍に約2分子のバクテリオクロロフィルa'を検出し,また酸素発生型光合成器官をもつ海産の原核藻類Acaryochloris marinaについては反応中心あたり2分子のクロロフィルd'を検出した。以上の事実は,C132位の立体化学が反応中心構成に重要な役割を演じることを示している。
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