配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
2002年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2001年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2000年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
エイドリアン(1928)以来,感覚器は刺激を求心性インパルスの発生頻度(暗号)に変換するトランスジューサと言われてきた。刺激を暗号で伝達するには,刺激,暗号,感覚の間に1対1の対応が必要である。しかし,皮膚温の階段状の低下に対して冷受容器の発するインパルス頻度は,閾以下でのみ活動する閾応答,頻度が動的に低下する順応,飽和現象を示し,温度と頻度に1対1の対応がない。そこで,冷受容器をトランスジューサだとは捉えにくい。これに対し,温・冷受容器は,温度が閾よりどの程度高いか低いかを判断する比較器だと代表者は提案している。だが、その実体は分かっていなかった。この研究では、感覚線維の細胞体がある後根神経節(DRG)より培養した冷細胞のイオン機構・分子機構を解析し、温度比較器の実体を解明することを目指す。ここでは、DRGを分散培養した細胞の性質をCaイメージング法で同定し,冷受容細胞からパッチクランプ記録した。ホールセル電流固定下,閾以下の冷却は,脱分極性の受容器電位を発生しインパルスをバースト状に引き起こした。ホールセル電位固定(-60mV)下,冷却は内向き電流を誘発した。その電流-電圧曲線から,冷却は非選択的陽イオンチャンネルを活性化すると示唆された。細胞体から膜片を切離したout-side out patch法では,冷却で活性化する単一陽イオンチャンネル電流が記録できた。これは,チャンネルが温度に直接的に反応することを示唆する。また,温度を閾以下に低下した時,静止相から活動相への相転移が起こり,その後開閉活動がランダムに生じた。そこで,チャンネルの相転移が温度比較の動作原理であると同定した。このチャンネルは冷却とメントールに応答することから,クローニングされた冷・メントール受容体(CMR1)と同一分子であると示唆された。
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