研究課題/領域番号 |
12557110
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
近藤 丘 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10195901)
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研究分担者 |
遠藤 千顕 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (80333813)
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (90323104)
松村 輔二 (松村 輔ニ) 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (80281997)
星川 康 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90333814)
佐藤 雅美 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (30250830)
佐川 元保 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (70292274)
谷田 達男 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (20217144)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
2002年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2001年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | liquid ventilation / FC-77 / rat / human pulmonary endothelial cella / human alveolar epithelial cell / respiratory failure / oxygenation / 腸管 / 腹腔 / 低換気 / Liquid Ventilation / 慢性呼吸不全 / 肺移植 / 人工臓器 / Perfluorocarbon |
研究概要 |
肺移植では移植希望患者が長期の待機期間を乗り切ることが出来るような、透析や人工心臓のようなデバイスが実用化されていない。本研究の目的は、酸素溶解能が高い不活性溶液用いたliquid ventilationが、肺ではなく腸管を用いて可能かどうかを検討し、その臨床応用を目指すことにある。ただし、Perfuluorocarboneを用いたlung ventilationが実際にUSAで臨床試験を受けていることもあり、この溶液は現在では入手不可能となった。そこで、現在入手可能なその類似構造物であるフロリナートFC-77を用いて、ヒト静脈血を用いた基礎実験と、ラットを用いたliquid ventilationの実験を行った。 1.ヒト静脈血を用いた基礎実験 酸素飽和飽和したFC-77とヒト静脈血を1mlずつ等量混和して、PaO2とPaCO2を経時的に測定すると、混和から60秒以内に、PaO2が300 Torr、PaCO2が30 Torrと有意に変化した。このことは、FC-77を用いて、極めて短いコンタクトタイムの内に、静脈血に十分量の酸素をデリバリーし、かつCO2を排出する事ができることを示している。同様の効果は、弱いながら空気飽和したFC-77を用いても可能であった。 2.ラットを用いた酸素デリバリーの検討 ラットに気管切開したのち人工呼吸器を装着し、頸動脈にラインを確保した。PaO2が90 Torr以上になるようなventilationで十分な分時換気量を維持した状態(VT=10ml/k, f=60)では、腸管へ酸素飽和したFC-77を20m1/kg注入して血液ガスデータに有意な変化は見られなかった。しかし、ラツトを極端な低換気(VT=5ml/kg, f=30)で維持しておくと、FC-77を腸管に投与することで、PaO2の改善が認められた。また、腸管ではなく、腹腔に同量の酸素飽和したFC-77を投与すると、PaO2の上昇、PaCO2の低下はより効果的だった。 以上の成績は、肺以外の臓器を用いたliquid ventilationの実現に光明を与えるものである。我々はFC-77を介して酸素をデリバリーすることは、腸管や腹腔を用いて今の技術でも十分可能であり、FC-77に移行したCO2を体外に放散されるデバイスの開発により肺以外の臓器、特に腸管よりは腹膜を利用したliquid ventilationが実現化されるだろうとの結論を得た。
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