研究課題/領域番号 |
12620071
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
守山 正 拓殖大学, 政経学部, 教授 (90191056)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 環境犯罪学 / 状況的犯罪予防 / 監視カメラ(CCTV) / 転移 / CCTV(監視カメラ) |
研究概要 |
欧米諸国の中でも主としてイギリスの公共空間におけるCCTV(Closed Circuit Television閉鎖回路式監視カメラ)の設置状況およびこれに関する種々の研究・議論について現地調査を中止心に研究を行った。研究の調査対象地域として、設置が進んでいるハダースフィールド、シェフィールド、ウォルパーハンプトン、エディンバラの各市を選択し、その設置状況、これに対する市民の反応を市担当者、設置会社、管理センター責任者に対してインタビューし、また犯罪学者ら大学研究者、政府系の研究者として内務省研究機関の担当者と議論を行った。この中には、ケンブリッジ大学犯罪学研究所、シェフイールド大学法学部、ハダースフイールド大学法学部、内務省調査統計課に所属する研究者が含まれる。 この結果、CCTV設置によって概ね以下の機能が確認された。(1)犯罪予防効果、つまりCCTVの設置により潜在的犯行者が検挙のリスクを認識し、当該場所では犯行を控えること。現に、設置場所付近では犯罪減少がみられた。(2)犯行捕捉機能、つまり犯行の状況を詳細に把握できるため警察官の配備等、迅速で的確な警察活動の対応が可能なこと。これにより検挙率が高まり、犯人検挙の効果がみられた。(3)犯罪証拠記録機能、つまりCCTVは一般にビデオ装置も兼ねており、その結果、犯罪証拠を記録でき、警察、検察、裁判場面で犯行者の追及に効果的である。これにより、犯行者が犯行を認める傾向が強まり、これらの機関の人的資源と時間の節減に効果がみられた。 CCTV等の設置をめぐっては、さまざまな議論がみられる。一つは、犯罪を他の場所に移転させてしまう転移現象(displacement)、二つにはCCTV設置に伴う市民的自由の侵害、とくにプライバシー権の侵害等が議論されている。とくに後者に関しては近年まで必ずしも十分な議論がされてこなかったが、イギリスでは1998年データ保護法が成立し、CCTVを設置・管理・運営する者には、さまざまな法的義務が科され、市民の権利保護の動きが盛んになっている。今後は、CCTV設置の効果に対する評価研究によって、犯罪予防効果のほか、市民のこれに対する態度等が検討される必要がある。
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