研究課題/領域番号 |
12620076
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三谷 博 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50114666)
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研究分担者 |
並木 頼寿 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80155986)
黒住 真 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00153411)
季 衛東 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70224889)
岩月 純一 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 専任講師 (80313162)
村田 雄二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70190923)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 公共圏 / 民主主義 / ハーバーマス / 東アジア / 中国 / 韓国 / 日本 / ヴェトナム / 公論 / 公議 / 民主化 / デモクラシー / 公儀 / 世論 |
研究概要 |
この研究は、民主化について、東アジアにおける経験を吟味し、未来の可能性を探ることを目的とした。日本と韓国は、現在、かなり似通った自由な政治体制を持っているが、その達成の経路はかなり異なったものだった。それは、中国とヴェトナムが自由な体制を創り出すならば、日本や韓国さらに欧米とは違う経路を辿ることを予想させる。我々は、このような観点から、20世紀初頭を中心とする前後100年につき日本・朝鮮・中国・ヴェトナムの経験を比較し、民主化を可能にし、活性化するモジュールを探索してきた。 獲得された知見は、A)民主化に際し、他国の完成されたモデルの直輸入や強制を回避すべきこと。それは歴史的事実として存在せず、未来に向かって有効でもない。「先進国」の経験は常に参照されるが、採用は一部である。かつ、自国の過去にあった要素も再利用される。それを欠くと民主化に強い正当性は与えられない。用語上は、B)「民主化」と「人権」を回避し、「公論形成」を強調すべきこと。欧米の伝統に根ざす概念を振りかざし、東アジアにおける欠如を批判することは、西洋の覇権へのトラウマを刺激し、「人権」自体の実現を妨げかねない。むしろ、現地の主体に様々なモジュールを提示し、状況に応じて使ってもらう方が良い。具体的には、C)政治運動や政治制度、イデオロギーよりは、「公論」の慣習とメディアの形成に着眼すべきこと。とくに、政府内部の決定慣行、民間の快定慣行、政府と民間のコミュニケーション慣習、政府批判が正当となる「公論空間」の生成、メディアの役割、「公論」が暴力より正当と認知される過程に注目すべきである。 この研究の知見は、東アジアのみならず、非西洋世界全体の民主化について、重要なヒントを与えることであろう。今後、20世紀の後半の東アジア、さらに他地域も視野に入れて、さらに研究を発展させる予定である。
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