研究概要 |
主に以下の3つのテーマについて調べた.(1)ZnO : Al膜中にZnO層を挿入することでどのような効果があるか.(2)Znの同時添加のもとでのZnO : Al膜作製中に第2の不純物を混入することでどのような効果があるか.(3)ZnOとIn_2O_3の2元系酸化物薄膜ではどのような特性のものがえられるか.(1)に関しては酸素欠損のあるZnOをZnターゲットから作製すると抵抗率の低下に役立つことがわかった.その理由はZnがZnO結晶成長の核形成を促進しており,これが結晶粒中の欠陥の減少,Alドナーの添加効率の増大をひきおこすとともに,ZnO : Al粒界ポテンシャルの低下にもつながっていると考えられる.(2)の添加不純物の効果はMn, Co, Crについて試みた.膜の抵抗率は添加しない場合より増大してしまった.結晶粒サイズは微量不純物添加で増大する傾向にあるが,それが直接抵抗率の低下には働かず,キャリア密度の低下の効果が大きく,不純物の添加はZnによる抵抗率の低下を妨げる方向にあることがわかった.粒界に不純物が集積することで,その酸化反応が抵抗率に大きく影響してきた.この結果はZnO : Alでの粒界の果たす効果が低抵抗膜ほど大きいことがわかった.(3)ではZnOターゲットとIn_2O_3ターゲットをスパッタすることで2元系透明導電膜を作製したところ,2元系酸化物薄膜で広い組成比にわたってアモルファス相が存在していること,このアモルファス相ではホモロガス相よりも低抵抗が実現できること,Sn(10wt%Sn_2o_3ではあるが)の添加は抵抗率の低下を引き起こさないが,Alの添加(1wt%Al_2O_3)ではアモルファス相でのZn含有量が大きい領域では添加効果が認められることを発見した.これは今後のZnO-In_2O_32元系薄膜への不純物添加の可能性を示す.
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