研究分担者 |
生源寺 真一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40196580)
合田 素行 農林水産省, 農林水産政策研究所・評価・食糧政策部, 室長
工藤 昭彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00073966)
大村 道明 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70312626)
茂野 隆一 筑波大学, 農林学系, 助教授 (60292512)
|
研究概要 |
本研究では,今後の農協の使命が,従来の農家の所得向上から,地域の維持・発展にシフトしたとの認識に立ち,(1)新たな地域農業の担い手の育成,(2)地場産業の担い手の育成など地域経済の振興,(3)環境低負荷型農業・農村生活の普及・促進,(4)高齢者福祉活動への参加・関連施設の整備推進,といった側面を切り口に,農協の実態と今後のあり方を明らかにした. (1)・(2)に関しては,農協組織のリストラクチャリングの一環として,その事業の一部をアウトソーシングし,地域農業の維持と新たな事業展開に結びつけた事例を調査した.農協は非営利部門だけをアウトソーシングしており,このままでは地域農業の維持と新たな事業展開は困難であるとの結論を得た。また,(3)に関しては,LCA(ライフサイクルアセスメント)の観点から,地域資源利活用・循環型社会における農業の役割としての有機性廃棄物堆肥化に着目し,その有効性を検討した.堆肥化においては,施設の省エネルギーが環境負荷を極小化する重要な要因となることを明らかにした.(4)に関しては,既存の社会福祉制度に当てはまらない高齢者を,農協が独自の福祉ボランティアを組織してカバーすることが可能であることが判った. また,農協本体は,これまでの広域合併農協路線では,景気低迷・農産物価格低下・農業農村の衰退を背景に機能の限界に達し,農村地域における最大の経済主体ではあるものの,存続自体が危機に瀕していることが判った.この点は,コーポレート・ガバナンス論を農協の運営に適用し,明らかにした.また,農協組織のあり方について,従来の広域合併ではなく,農協同士のネットワーク化が有効であるとの結論を得た.
|