研究概要 |
1.蛍光色素で標識した腸リンパ管由来Tリンパ球の動態を組織学的観察により行い、エンドトキシン(LPS)刺激下での影響を検討した.Wistar系雄性ラット250gを用い,LPSを腸間膜動脈注入がmigration patternに影響することを生体顕微鏡下に観察した。その際,接着分子の関連性が推測されたが,LPSとTリンパ球とのインキュベーションでは接着分子(LFA-1、α4-integrin、L-selectin)の発現パターンには直接的には影響をおよぼさなかった.一方,Tリンパ球のLPSに対する感受性に関しては抗LPS-bindimg protein(CD14)抗体を用いたflowcytometryを施し,一部で陽性を示し,LPSは血管内皮およびTリンパ球双方に働いてmigrationに影響をおよぼすものと考えられた.以上のことは6th Koch-Kitasato Institute Joint Symposium, Sept.2000,Berlinにおいて発表し(The regulation of lymphocyte migration in gut-associated lymphoidtissue(GALT)),論文とした(腸リンパ管リンパ球のmigrationに対するエンドトキシンの影響リンパ学23:2000,73). 2.リンパ球への抗原刺激において重要である抗原提示細胞(APC)に着目し,ラットパイエル板よりTリンパ球とadherent cellを分離して抗原刺激下での接着分子発現を検討した.Tリンパ球単独群とTリンパ球にadherent cellを約10%混合した群を作成し,LPS10μg/mlにて36時間刺激し,^3H-thymidineの取込みを測定,さらにCD25(I12-Rc)および接着分子の発現をflowcytometryにて解析した.^3H-thymidine取り込みはLPSにより増加し,adherent cell添加でより増強された.CD25や接着分子の発現はTリンパ球単独群では変化しなかったが,adherent cell添加によりCD25,CDllaの発現が増強しLPS刺激下でのパイエル板のTリンパ球のmigrationにおいてもAPCの関与が示唆された(第12回世界消化器病学会2002.2,バンコク). 今後は標識リンパ球を用いて実際の組織学的検討を行っていく.
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