研究分担者 |
雪入 一志 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (30346647)
高木 雄一郎 香川医科大学, 医学部附属病院, 助手 (20346646)
大森 浩二 香川医科大学, 医学部附属病院, 講師 (00263913)
和田 佳宏 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (00314930)
藤田 憲弘 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (40322268)
|
研究概要 |
エンドセリンは1988年、柳沢・眞崎らにより血管内皮由来の強力かつ持続的な血管収縮ペプチドとして同定された(M. Yanagisawa, et al. Nature 332:411-415,1988)。またECEについては、いくつかの研究施設においてそのcDNAがクローニングされた(M. Takahashi, et al. J Biol Chem 268:21394-21398,1993; K. Shimada, et al. J Biol Chem 269:18274-18278,1994; D. Xu, et al. Cell 78:473-485,1994;M. Schmidt, et al. FEBS Lett 356:238-243,1994他)。私共のグループを含めて、ある種の高血圧、冠動脈硬化、心不全にエンドセリンがその病態に関与していることが明らかになっている(K. Yokokawa, M. Kohno, et al. Ann Intern Med 123:35-37,1995; M. Kohno, et al. Am J Med 88:614-618,1990; M. Kohno, et al. Circulation 98:353-359,1998; S. Sasaki, et al. Circulation 93:1214-1222,1996)。またエンドセリンは血管内皮細胞ばかりでなく平滑筋細胞、心筋細胞などいくつかの細胞でも産生が認められる。また、platelet-derived growth factor (PDGF)やangiotensin II (Ang II)は、その産生を促進することが認められている。さらに進行した動脈硬化病変では血管内皮ばかりではなく、平滑筋細胞においても著しくET-1産生が亢進することが認められている。Nitric oxide合成阻害により作成された重症高血圧モデルでは血中エンドセリンが増加し、また抗動脈硬化作用を有するとされるスタチンやEicosapentaenoic acid (EPA)はAngiotensin IIなどによるエンドセリン合成を抑制することを明らかにした。一方、HGFは増殖促進因子であるET-1の産生を血清非存在下においても10%血清、10^<-6>mol/L Ang II存在下のいずれにおいても促進しなかった。HGFはET-1産生に関与するprotein kinase C活性に、少なくとも平滑筋細胞においては影響を与えないと考えられた。これに反して、塩基性線維芽細胞増殖因子は平滑筋細胞のET-1産生を増殖させた。HGFは様々な細胞に対して増殖や運動性の促進、形態形成誘導、抗アポトーシス作用をもち、血管新生作用をも有している。HGFが平滑筋細胞のET-1の産生を様々な条件においても促進させなかったことは、この因子が将来的にASOや冠動脈形成術後PTCA後の再狭窄などに対する遺伝子治療に使用される可能性のある現在、有用な基礎的実験結果であると考えられる。
|