研究概要 |
研究目的(1)は大学の文系学部の基礎課程にファジィ理論を導入するのに最適な教案を完成することである.平成12年度,慶応義塾大学商学部の総合教育セミナーで1,2年次学生を対象に実践授業を行って,教育内容,教育技術の問題点を抽出し,研究会で分析,検討した.この結果をふまえて,平成13年度はファジィ測度,ファジィ積分の内容を付加して実践授業を行い,毎時限アンケートを収集し受講生の反応を調査したが,おおむね好評で所期の目的を達することができた.この結果は8月の日本ファジィ学会および9月の数学教育学会で報告する予定である. 研究目的(2)は大学の理工,教育,医学,情報系学部の特別講義,セミナー等でファジィ理論の実践授業を行い,それぞれに適した教材を開発することである.両年度とも日本大学理工学部の教養ゼミナールで「人間とファジィ」と題する授業を実践し,授業内容に合った身近な具体例を開発した.また,平成13年度は4年次学生に「ファジィ推論を応用した評価法」をテーマに卒業研究を課したが,興味ある論文が発表された.これらの内容については9月の数学教育学会で報告する予定である. 研究目的(3)はファジィ理論を利用した中等教育における「総合学習」の教材を開発することである.平成13年3月,7月と平成14年2月に早稲田大学本庄高等学院で,特別授業「ファジィ理論ゼミ」を試行した.アンケート調査から「総合学習」の教材として利用することが可能と思われる.また,清風高校ではロボットの「迷路」をテーマに「総合学習」の教材開発が進行中である. 研究目的(4)のファジィ理論の教育への応用に関しては,ファジィ推論を応用した教育評価の研究,競技モデルの研究,T-ノルムを応用した教材構造分析の研究等を進展させることができた.
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