研究概要 |
(目的)Antisense cyclin D1(CyD1)を用いた消化器癌遺伝子治療の臨床応用のためには,いろいろの遺伝子異常背景をもった多数の癌細胞株を用いた検定が必須である。 (検討項目と結果) A.癌細胞のCyD1量,遺伝子異常背景についての検討 大腸癌細胞株5種類,肝癌細胞株4種類について,RT-PCR法でCyD1 mRNA発現を,western blot法で蛋白量を検討した。またp53,K-raS, APC, beta-cateninの遺伝子背景について検討した。 B.Adenovirus発現系の構築 Simplified adenovirus transfer system(PNAS;95:2509-2514,1998)を用いて,感染により各種細胞株にantisense CyD1 mRNAを発現させる系を確立する。(進行状況)pcDNA3-CyD1plasmidより,CyD1cDNAを切り出し,adenovirus shattle vectorにantisense方向にsubcloningした。次に,adenovirus backbone vector(Easy1)とelectroporation法により特殊大腸菌の中で融合させ,recombinant AS CyD1 vectorを得た。同様に,遺伝子の組み込まれていないMock vector,およびGFPを発現するコントロールplasmid, FP+antisense CyD1を発現するplasmidの作製が完了した。さらに293細胞によってウイルス液を濃縮・精製して,生物学的効果判定の実験をすすめている。現在のところantisense CyD1は腫瘍の血管新生を抑制することがわかり、そのメカニズムを調べている。
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