研究課題/領域番号 |
12877029
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
田邉 忠 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 部長 (60025624)
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研究分担者 |
波多江 利久 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室長 (10251026)
横山 知永子 国立循環器病センター研究所, 薬理部, 室長 (90200914)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | プロスタサイクリン / アポトーシス / 肺高血圧症 / PPARδ / 肺高血圧 / アラキドン酸 |
研究概要 |
プロスタサイクリン(PGI)は、アラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ(COX)およびPGI合成酵素(PGIS)によって作られ、強力な強力な血小板凝集抑制作用および血管拡張作用を有し、循環器系の制御に重要な機能を有する脂質メディエーターである。活性型PGI発現ベクターをHEK-293細胞に導入したところ、PPAR応答配列を含んだレポータ遺伝子の活性化とともにアポトーシスの誘導が認められた。このアポトーシスの誘導は、ドミナントネガティブ型PPARδの共発現によって完全に抑制された。また、不活性型PGI発現ベクターをHEK-293細胞に導入した場合、レポータ遺伝子の活性化もアポトーシスも誘導されなかった。さらに、細胞外からPGIアナログ・イロプロストで刺激した場合、細胞内cAMP濃度の上昇とともに細胞内PGI-PHRδ依存型アポトーシスの抑制が認められた。cAMPアナログdbcAMPで処理したところ、濃度依存的な細胞内PGI-PPARδ依存型アポトーシスの抑制が認められた。一方、cAMPアンタゴニストであるRp-cAMPで処理したところ、細胞内PGI-PPARδ依存型アポトーシスの促進が認められた。すなわち、細胞外PGI刺激は、細胞内cAMP濃度の上昇させる結果、細胞内PGI-PPARδシグナル伝達経路を介するアポトーシスの誘導が抑制されることを見出した。本研究によって、従来から知られているPGIシグナリング経路以外に、PPARδを介する細胞内で生理活性を発現するイントラクリン形式による新しいPGIシグナル伝達系が存在し、パラクリンやオートクリンによるPGI作用と、拮抗的に細胞の生死を制御すことが示唆された。 一方、前年度にヒトPGIS遺伝子をモノクロタリン(MC)処理肺高血圧モデルラットに気管支からHVJリポゾーム法を用いて導入、肺高皿圧の改善を認められたが、同様の方法でMC処理ラットの肝臓に導入した結果、同様に肺高血圧の改善が認められた。大阪大学の森下らは、HGF発現ベクターを用いて動脈閉塞症のモデル動物や、患者に遺伝子導入を行って来たが、今回ヒトHGF発現ベクターにPGIS発現ベクターをモデル動物に共導入することにより、HGF単独投与に比べて血流の回復期間が半減し、血管数が1.6倍増加していた。(平成14年3月4日経新聞)
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