研究概要 |
癌抑制因子でもある転写因子IRF-1がSUMO-1化修飾を受けることを発見し、SUMO-1化修飾による機能制御について解析し、以下の結果を得た(投稿中)。 1.yeast two-hybrid systemを用いてIRF-1結合蛋白質を探索し、SUMO-1に対する結合酵素(E2')であるUBC9と、転写因子STAT3の阻害蛋白質であるPIAS3を、IRF-1結合蛋白質として同定した。さらに、PIAS3がSUMO-1化修飾におけるリガーゼ(E3')として機能する可能性を証明するために、SUMO-1とPIAS3を用いて、IRF-1とともに293T細胞へのトランスフェクションを行い、IRF-1が,PIAS3依存的にSUMO-1化されることを見いだした。 2.SUMO-1化修飾がIRF-1の転写活性に対する影響を調べるために、IRF-1,SUMO-1およびPIAS3の発現ベクターを用いたリポーターアッセイを行い、SUMO-1とPIAS3を共発現させた場合に、IRF-1の転写活性が抑制されることを見いだした。IRF-1の転写活性の抑制がSUMO-1化修飾によるかを解析するために、PIAS3のSUMO-1リガ-ゼ活性の発現に必須なRING fingerドメインのCys残基をSerに置換したC334S変異体を作成し、IRF-1に対するSUMO-1リガーゼ活性とIRF-1の転写活性に対する影響を調べた。そして、C334S変異体では、野生型PIAS3と比較して、IRF-1のSUMO-1化修飾が減少し、IRF-1の転写活性に対する抑制効果が失われることを見いだした。以上の結果から、PIAS3は、IRF-1のSUMO-1化修飾を促進することで、IRF-1の転写活性を負に制御していることを明らかにした。
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