配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2003年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2002年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
|
研究概要 |
本研究の目的は,心理物理学実験とfMRI実験を併用するとにより,ヒト視覚系の物体認知や空間認知の機能を明らかにすることである.心理物理学実験では,視野内の広い範囲に運動刺激を呈示することにより,被験者に自己運動感覚(ベクション)を知覚させ,そのときの物体の見え方や眼球運動を実験的に調べた.刺激呈示装置には,1辺が3メートルの立方体のうち正面・左・右・床の4面に運動刺激を提示できるCAVEを用いた.被験者はCAVEの中に座って身体を固定し,正面や左右の面に呈示される左右方向に運動する背景刺激を観察した. このような視覚環境で,数十ミリ秒の時間差で被験者の正面に呈示される2つの光点の順序を判断させた.結果は次のようになった.1)光点呈示の時間順序判断は背景刺激が出てくる方向が早くなるというバイアスがあった観察された.すなわち,背景刺激が左から右に動くときは左の方が早く呈示されたという錯覚が起きた.2)このバイアスは被験者がベクションを感じているときに強く生じ,感じていないときにはほとんど生じなかった.3)このバイアスの度合は被験者が感じているベクションの強さに依存していた.以上の結果はIEICE Transaction on Information and Systemsに投稿し,受理され印刷中である. また、背景刺激が同様の動き方をする視覚環境で眼球運動を計測した.CAVE専用の赤外線眼球運動測定装置を用いて,視野全体に運動刺激が呈示されるときに特有の視運動性眼振動(OKN)を計測した.結果は次のようになった.1)ベクションの強さを両眼視差による奥行きで操作したところ,OKNの生起眼位はベクションの強さに比例して変位した.2)またその変位は主観的なベクションよりも時間的に先行していた.以上の結果は日本バーチャルリアリティ学会論文誌に投稿し,受理され掲載された.
|