研究概要 |
1.球状メソポーラスシリカ形成過程:親油性のテトラブトキシシラン(T BOS)を界面活性剤を溶解した水溶液に攪拌分散して球状メソポーラスシリカの微細構造形成過程を検討した。反応開始後3時間で水相の界面活性剤がTBOS相に水を伴って溶解し,TBOS相で直径3-0nm程度のマイクロエマルションを形成する。さらに反応開始後6時間くらいからTBOS相で規則的なナノ構造形成を示すX線散乱分布を示した。8時間後にはヘキサゴナル構造を有する球状メソポーラスシリカ粒子が得られた。この粒子は細孔が連続しているという細孔構造を有するという特徴がある。このために、水相中のフェノールを高濃度で可溶化することができた。 2.官能基を導入した球状メソポーラスシリカ体の調整:テトラエトキシシラン(TEOS)とアミノ基を有するトリエトキシシラン(SAPS)を同時にアニオン性界面活性剤を溶解した水溶液中で、加水分解、重縮合反応を進行させ,シリカ表面をアミノ基で表面修飾した。この複合体はTEOS量が少ない条件ではラメラ構造を有しており,TEOS量が多くなるとヘキサゴナル構造に転移した。このヘキサゴナル構造のシリカ粒子から界面活性剤を溶媒抽出によって除去して、高比表面積のアミノ修飾のシリカ粒子を合成できた。この粒子は、シックハウス症候群の原因物質であるアルデヒドなどを効率よく吸着分離できることが期待できる。 また、界面活性剤にラウリルアミンを用いてシリカ表面にチオール基を有するメソポーラスシリカ粒子を調製した。この粒子は水相中のソフト金属である銀イオンを高効率で吸着分離することができた。この結果から、同様なソフト金属であり有害な水銀イオンを、低濃度条件から吸着分離する分離剤としての利用が期待できる。
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