研究概要 |
tetracaine, lidocaine, bupivacaine, mepibacaine, prilocaineに加え、13年度からprocaine, dibuaine, levobupivacaine, ropivacaineをラット脊椎麻酔モデルに投与し主病変部位を特定後、各局麻薬を同力価で比較し、主に病変出現頻度から毒性の高さを順位付けた。その結果、検討した全ての局麻薬で毒性病変は脊髄入口部後根で初発し、後索方向へ軸索進展することが判った。病理学的特徴は共通だが、毒性はdibucaine, lidocaine, tetracaineの順に高く、ropivacaine, levobupivacaine, procaineの順に低く、中間にbupivacaine, mepibacaine, prilocaineが位置していた。この結果を基に14,15年度は培養した神経節細胞から発芽した後根軸索に1〜100μMのlidocaineを暴露し、軸索輸送速度の変化検討した結果、低濃度lidocaine(10μM以下)は神経細胞膜を穿孔し、カルシウム流入増加により軸索輸送を抑制し、一方高濃度lidocaine(100μM)は直接神経細胞膜を穿孔して膜を破壊すると考えられた。Kinase II(CAM Kinase II)inhibitor KN-62はLidocaine毒性による軸索輸送の抑制は軽減するが、膜崩壊は阻止できなかった。一方、膜保護剤のLysophosphatidic acidは軸索抑制と膜破壊を共に抑制した。今後、他の局麻薬の検討も加え、毒性の機序の解明、毒性評価のスクリーニングの信頼性を確認し、臨床での神経合併症の抑制に役立てたい。
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