研究課題/領域番号 |
13680739
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
黒谷 亨 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (50195591)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | 大脳皮質 / 視覚野 / ラット / 長期抑圧 / 長期増強 / 抑制性伝達 / パッチクランプ / Development |
研究概要 |
我々はこれまで、大脳皮質視覚野でのシナプス伝達の長期増強を、主に細胞外電場電位を測定することで評価してきた。しかしこの方法では、興奮性伝達が増強しても、抑制性伝達が減弱しても長期増強と見なされてしまう。既に、シナプス後細胞の高頻度発火により、皮質視覚野抑制性伝達に長期抑圧が生じることを我々は報告しており、この現象が電場電位の長期増強の実体である可能性が高い。そこで本年度も昨年度に引き続き、顕微鏡下でスライスパッチを行い、whole cell voltage clamp法を適用して、この長期抑圧の発現がシナプス前性か、あるいはシナプス後性であるかを検討した。生後20から30日令のSDラット皮質視覚野スライス標本において、興奮性伝達をDNQX、APVで抑制した後、5層の錐体細胞から4層刺激で誘発されるIPSCを記録した。-70mVに膜電位固定した状態から、20msec、70mVの脱分極パルスを20Hzで5秒間与え、これを10秒ごとに30回繰り返すと、IPSCの振幅は脱分極刺激前の75%までに減弱する長期抑圧が生じた。このときIPSCの逆転電位は変化せず、IPSCコンダクタンスが減少した。さらに、電気泳動的に与えたGABAによる反応も減弱した。しかしpaired-pulse ratioは変化しなかった。抑制性介在ニューロンと錐体細胞から同時期録を行い、介在ニューロンの発火により錐体細胞に誘発されるユニタリIPSCのfailure rateを比較すると、パルスを与えた後では明らかにfailureが増大していた。長期抑圧の誘発は、高閾値の電位依存性Caチャネル阻害剤の存在下では抑制された。また、GABA受容体のinternalizationに関与する分子機構を様々な阻害剤を用いて阻害しても、長期抑圧の誘発は抑制された。これらの結果から、この長期抑圧はシナプス後細胞膜上のGABA受容体が、脱分極パルスによるCa流入により活性化されたエンドサイトーシス機構により内在化することで発現すると考えられる。
|