研究課題/領域番号 |
13740318
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地球化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 智樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20260721)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 炭素質コンドライト / 鉱物学 / 希ガス同位体比 / タギッシュレイク隕石 / 隕石 / 層状珪酸塩 / 希ガス |
研究概要 |
Tagish Lake炭素質コンドライト隕石は2000年にカナダに落下した新しいタイプの始原阻石である。反射スペクトルの測定から、この隕石の母天体はD型小惑星であると考えられている。このタイプの小惑星は小惑星帯外縁部に存在し、対応する隕石タイプが存在しないと考えられていたものである。本研究において、Tagish Lakeの鉱物学的研究より、この隕石は明らかに母天体上での水の関与する変質を受けており、その変質の程度は高く隕石中の細粒部分はほとんど層状珪酸塩でできていることがわかった。層状珪酸塩はサポナイトが卓越しており、他の炭素質隕石の鉱物組み合わせ(サーペンテンとサポナイト)と異なる。したがって、Tagish Lakeは母天体上でこれまで見つかった隕石と異なる環境で水質変成を受けていたことが判明した。また、この隕石は鉱物組成と内部組織が異なる無数のゼノリスを含んでおり、このことはこの隕石の母天体が、角礫岩化作用を受けたことを意味する。一方、希ガス同位体比分析から、この隕石には太陽風希ガスが含まれておらず、したがって角礫岩化作用は天体表層ではなく天体集積時に起こったと推定される。これはこの隕石が集積角礫岩であることを示す(研究業績1)。また、Tagish Lakeは今までに見つかったどの隕石よりも、ダイヤモンドやSicといった先太陽系粒子の濃度が高いことがわかった。本研究より、Tagish Lake隕石は極めて始原的な物質であり、太陽系形成時の原始太陽系星雲内での小天体形成過程を記録していることが判明した。
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