研究課題
特別研究員奨励費
Si(111)基板上BaSi2中に含まれる直線状粒界近傍のBa原子配列を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、Ba原子由来の原子欠損は粒界に存在していないことが示された。この粒界の特性を評価するために、VASPを用いた第一原理計算によって安定構造の探索を行った。各構造での粒界エネルギーの大小関係から最安定な粒界構造を見出し、その粒界特性を調べた。最安定な構造では95 mJ/m2の粒界エネルギーが得られた。他の構造と比較して、この粒界では粒界近傍のSi四面体配列がバルク結晶内部と類似した配列となっており、そのことが粒界が安定化した理由であると考えられる。さらに、この構造は、TEMで観察された実際の原子配列と対応しており、実験と計算での一貫性が取れた。粒界近傍とバルク結晶内部における局所状態密度に顕著な差はなく、BaSi2中に多数含まれる直線状の粒界は電気的に不活性であると結論付ける。BaSi2のpn接合についても評価を行った。p型層中の不純物Bの活性化のために行うアニール処理によって試料にはクラックが形成される。原子間力顕微鏡の電流モード(c-AFM)によりクラック部分を優先的に電流が流れている様子が確認された。次に、クラックを含まない領域での電流経路を調べたところ、膜内を均一に流れている結果が得られた。これは、上記の粒界特性によって粒界と粒内で電流の流れ易さに大きな違いが無いためであると考えられる。p-Si/n-BaSi2/p-BaSi2の構造に対して印加するバイアス電圧を増やすことによって、p-Si/n-BaSi2による電流・電圧特性を打ち消すような結果が得られた。このことは、BaSi2のpnホモ接合による特性による影響と考えられ、pn接合が作用していることを示唆したと考えている。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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