研究課題
特別研究員奨励費
本年度の研究により、玄米に特有に高濃度に含まれるγ-オリザノールが肥満・糖尿病を改善する作用機序について、以下の新しい知見を得た。1. マウスにγ-オリザノールを経口投与し、各組織中に含まれるγ-オリザノール量を高速液体クロマトグラフィーにより評価したところ、脳に非常に多くのγ-オリザノールが分解されない完全体として検出された。脳に次いで、内臓脂肪組織、皮下脂肪組織、膵臓など脂質含量の多い組織にも一定量の分布を認めた。2. γ-オリザノールのターゲットとなる受容体候補をβアレスチンの結合やセカンドメッセンジャー量の定量を指標としたスクリーニング・アッセイにより探索した。その結果、メタボリックシンドロームにおいて重要な病態である脂肪組織での炎症に関連する受容体chemokine (C-X-C motif) receptor 4 (CXCR4)に対して阻害効果を発揮することが明らかとなった。3. γ-オリザノールがエピゲノム制御に関わる可能性が明らかとなった。γ-オリザノールは脳や脂肪組織、膵臓などの代謝調節において重要な役割を果たす臓器へ選択的に作用していることが実証され、成果の一部を米国内分泌学会誌に報告した(Kozuka C et al. Endocrinology 156:1242-1250, 2015)。メタボリックシンドロームの基盤病態である炎症を改善する可能性や、エピゲノム修飾を介して生活習慣病を防ぐ体質改善効果を有する可能性を示しており、今後さらに検討を進めていきたいと考えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Endocrinology
巻: 156 号: 4 ページ: 1242-1250
10.1210/en.2014-1748
PLoS One
巻: 9 号: 11 ページ: e111537-e111537
10.1371/journal.pone.0111537