配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2004年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2003年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2002年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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研究概要 |
本研究では、脳の細胞新生と成長後の欲求性機能に対する胎生期ストレスの効果を明らかにすることを目的として,以下の実験を行った。すなわち,胎生期ストレスに曝されたラットをストレス非曝露ラットと比較することによって,(1)辺縁系の細胞新生を作る脳室下帯の細胞新生に違いがあるか,(2)条件性場所選好法においてドーパミン作動性薬物報酬に対する感受性に違いがあるか,(3)ドーパミン作動性薬物に対する移所活動と側坐核ドーパミン放出の反応性に違いがあるか,(4)拘束ストレスに対するストレスホルモン(コルチココステロン)の反応性に違いがあるかの4点について検討した。 その結果、胎生期ストレスに曝されたラットは,非ストレスラットに比べて、(1)脳室下帯における新生細胞数が著しく減少し,(2)条件性場所選好試験においてドーパミン作動性薬物報酬に対する高い感受性を示した。しかし,(3)移所活動と側坐核におけるドーパミン放出量の増加および(4)ストレスによる血漿コルチコステロン濃度の増加については有意差を生じるまでには至らなかった。 以上のように、胎生期ストレスは仔の脳室下帯における細胞新生を低下させ,成長後の仔の薬物報酬に対する感受性を亢進することが明らかになった。そのメカニズムについては未だ不明であるが,本研究から,妊娠中の母親に対するストレスが仔の欲求性機能の発達障害をもたらす危険因子となりうることが強く示唆された。
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