研究課題/領域番号 |
14330028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
地主 敏樹 (2003-2004) 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60171089)
石垣 健一 (2002) 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40047486)
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研究分担者 |
藤原 賢哉 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (30229067)
宮尾 龍蔵 (宮尾 龍造) 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40229802)
石垣 健一 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (40047486)
藤原 秀夫 同志社大学, 商学部, 教授 (10104613)
北岡 孝義 明治大学, 商学部, 教授 (60116572)
地主 敏樹 神戸大学, 経済学部, 教授 (60171089)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | インフレ・ターゲティング / 金融政策 / 国際比較 / デフレーション / 情報公開 / インフレーション・ターゲティング / 物価水準目標 / クレディビリティ / 中央銀行の独立性 / 政策有効性 / 欧州中央銀行 / 実証研究 / 政策運営 / インフレターゲッティング政策 / 中央銀行 / インフレ率の安定性 / 経済成長率の安定性 / デフレ |
研究概要 |
インフレ・ターゲティング政策は、世界の多くの国々で採用されるようになった金融政策運営手法である。目本では、1990年代の長期停滞とデフレーションからの脱出策として奇策のような扱いを受けてきたが、実情はむしろ世界標準に近い。本研究プロジェクトは、インフレ・ターゲティング政策を導入・実施してきた諸国の経験を調べ、その日本経済への適用可能性を探るものであった。本研究で得られた知見は、下記のようにまとめられよう。 (1)インフレ・ターゲティング政策は、導入した国々の間で、様々なバリエーションが存在するが、10年超の経験の後、金融政策運営の「緩やかな枠組み」とする方向にある。その典型例は、ニュージーランドの変化である。最初の導入国として、厳密なルールとアカウンタビリティで特徴付けられる制度設計をしていたが、近年の改革によって方針を転換した。他の諸国の制度設計も同じ方向にあり、学説的にも支持されている。 (2)インフレ・ターゲティング政策を導入した国々では、共通して政策情報の公開を促進してきた。この点では、「緩やかな」方向への逆戻りは見られていない。金融政策立案の主力モデルの公開や、政策立案過程の外国人専門家によるpeer reviewなど、インフレ・ターゲティング以前の伝統的な「秘密主義」では想像もできなかったレベルの情報公開が実行されている。この点は、学説でも支持されているし、インフレ・ターゲティング制度を導入した(タイのような)途上国でも実施されつつある。例外的に制約が厳しいのは、各国代表が集まって政策決定に関わっている欧州中央銀行である。 (3)デフレーションからの脱出策の成功例として、大恐慌期のスウェーデンの金融政策が、よく挙げられる。物価水準目標の採用が有効であったというのだが、現実には、物価水準目標採用の後、短期間で、英国のポンドへのペグも実施しているので、その金融政策運営の一貫性は疑わしい。 (4)実証的な分析では、M2+CDという伝統的な量的指標が、1990年代後半になって景気予測に有効な情報を提供しなくなったことを確認し、その原因を調べた。理論分析においては、インフレ・ターゲティング政策の導入国の多くでも採用されている委員会方式の政策決定が過度に慎重な政策運営に偏る傾向をもち易いことを示し、また利子率コントロールの有効性を示した。
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