配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2002年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
|
研究概要 |
研究代表者である根上が1986年に提唱した「有限な平面的被覆を持つ連結グラフは射影平面に埋め込み可能であろう」という予想は国内外の位相幾何学的グラフ理論研究者によって支持され,「平面被覆予想」と呼ばれている。これまでの研究によって,K_<1,2,2,2>というグラフが有限な平面的被覆を持たなければ,その予想は正しいことがわかっている。1つの具体的なグラフとはいえ,その被覆は無限に存在し,その無限個の被覆の中に平面的なものが含まれていないことを証明することは容易なことではない。そこで,本研究では,平面的被覆が存在するかいなかを結論するための検索すべき被覆の個数を有限に抑えるという理論的根拠とその有限な検索空間を効率的に生成する手法を構築することを目指した。このような研究指針を「平面被覆予想の有限化」という。 検索空間の生成に関しては,すでにK_<1,2,2、2>の(η-1)重平面的被覆の非存在が結論できていれば,それまでに生成したデータを引き継いで,O(n)時間でn重平面的被覆の存在・非存在が結論できるというアルゴリズムを構築した。しかし,メモリ空間が巨大になりすぎるため,パソコン上で単純にアルゴリズムを実装したのではすぐに破綻してしまうことが予想される。そのため,「持続可能なシステムの設計」という情報科学的な観点からの研究が必要となり,今後の研究に委ねざるをえない状況となった。 検索空間を有限に抑えるための理論については,ある程度以上大きな平面的被覆は適当な分解を施した後に合成的被覆になるだろうという予想を検討することで研究を進めた。その結果,合成的被覆の理論と群論における原始的置換群の理論とを融合することで,かなりの頻度で期待した事実が成立することがわかり,有限群論の成果やグラフ内の閉路の母関数とも思えるゼータ関数の研究が有用だろうという知見を得た。その他にも本研究に触発されて,いくつかの位相幾何学的グラフ理論の成果を得ている。
|