配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2002年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
本研究では,空間データの収集,そのデータの多角的な分析,今後も見越したデータ基盤としての地図のデジタル化に順に力を入れた. エジプト調査班においてはエジプト政府統計局のデジタル地図,20世紀初めの高精度な古地図のデジタル化などを重ね合わせて精度の高いベースマップを確立し,その上に各種統計データの蓄積を進め,カイロ大都市圏郊外におけるヒアリング調査のデータを載せて,GISよって空間解析をすることで,20世紀後半のエジプトにおけるマイグレーションの詳細な分析,移住者の発生する地域の特性や空間分布,移住者の社会経済的特性,カイロ大都市圏を形成する地域の空間構造などを明らかにした.付帯してカイロ郊外の住宅地については独特の中層共同住宅の形成史および間取りからみる住民の家族構成の原理も明らかにした.また,エジプト全土の古地図のデジタル化も完成し,今後のエジプト近代史研究のベースマップとできるようにした. 中央アジア調査班は以前に収集したデータの再分析により,デジタル地図をもとに民族意識の変容の実態を計量的に明らかにし,また灌漑水路網と地形との関係,フェルガナ盆地の民族分布の特徴との関係を見直し,文献史学とGISの融合による新しい知見を見いだした. 中国調査班においてはデジタル地図の入手が難航したが,各種の統計データから,全国的なマイグレーションを対象に分析を進め,家計調査をもとに都市郊外に居住する住民の出身地分布が明らかになり,全国的な貧富の拡大の格差という課題をミクロスケールにおいて把握することができた. 空間解析班においては上記の作業を通じて,古地図などの限定されたデータを基に,それらの取得,デジタル化など,空間解析に持ち込むまでの各種ノウハウを蓄積した.これらは今後の人文社会分野でのGIS活用,とりわけ地図が未整備な地域でのGIS利活用におおきな貢献になることと考えている.
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