研究概要 |
本研究は古典型ヘッケ環のモジュラー表現をアルティン環の表現論の手法を用いて研究することを目的として計画されたものである。もちろん、アルティン環の表現論の一般論だけでは十分な結果を得ることはできないことから、ここでは以前に得られた私の結果、すなわち、Kashiwara-Lusztigの標準基底を用いて古典型ヘッケ環、とくにB型の場合に分解係数が計算できる、という定理を併用することにより結果を得るというのがアイデアであった。2年間の研究の結果、とくに表現型の決定において満足すべき結果を得た。主定理は以下の通りである。 定理 Wを古典型ワイル群、Pw(x)をWのポアンカレ多項式、Fを代数閉体でq∈Fと q≠0,1と仮定する。W, qから定まるF上定義されたヘッケ環をHw(q)とおく。このとき、Hw(q)がfinite, tame, wildになるのはそれぞれ、(x-q)^2がPw(x)を割り切らない,q=-f≠fで(x+1)^2||Pw(x),その他の場合,のときである。 B型については2変数ヘッケ環の場合も完全な結果を得ている。
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