研究概要 |
関数変数を持つ偏微分方程式の解の振動に関する定性的理論,即ち,振動理論について,従来より格段に進展した結果が得られた.中立型と呼ばれる放物型方程式に対して,すべての解が振動するための十分条件が確立された.更に,高階非線形放物型方程式で,古典的Rosenau-Burgers方程式の一般化である方程式の振動定理が得られた.ベクトル細分方程式に関して,放物型方程式と双曲型方程式に対して振動理論が出来た.従来は楕円型方程式に対してのみ,振動結果があったので,大きな進展が得られたものと思われる.今までは,双曲型方程式は離散型の中立型方程式,即ち,有限和の関数変数未知関数の導関数が入った方程式が取り扱われてきたが,もっと拡張されたcontiunuous distributed deviating arguments(連続的関数変数)を持つ場合に対して,振動理論を作ることができた.これらの結果は3編の論文にまとめて雑誌に疫稿中である.そのうちの2編は,この科学研究費補助金で外国出張したところの,中国の東華大学の陶有山教授との共同研究である.同じく陶有山教授とは,腫瘍に関した論文を共著で著し,これは雑誌「Nonlinearity」に掲載が受理され,印刷中である.更に,東華大学の閻理坦教授とは,中立型双曲型方程式に対する特性初期値問題の振動理論について,共同研究が進み,論文を現在投稿中である.スロバキアで開催された国際研究集会(Conference on Differential Equations and Applications)で招待講演をし,スロバキアの数学者と研究上の交流ができて,コメニウス大学のヤロシュ教授とは,半分線形楕円型方程式で一階微分項を持つ場合に,ピコネ等式が確立でき,更にsturm型比較定理を作り上げることが出来た.また,研究集会(Toyama Conference on Differentialy Equations-2003)を富山大学で開催することが出来,大変有意義であった.この研究集会には,千葉大学のE.Minchev教授を招待講演者として招くことが出来,大いに学問上の議論をすることが出来た.
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