研究概要 |
インダセン骨格を利用した超分子形成能を有する構造の構築-ヒドリンダセンにおける5員環は封筒型配座をとり、2,6-置換体ではその置換基の内のより嵩高さの小さなものがインダセン骨格に対しほぼ垂直に配列される。この構造上の特徴を利用した下記の研究を行った。 (a)官能基化マクロサイクルの合成と機能-4,8-ジメトキシ-(Z)-2,6-ジエチニル誘導体(1)の合成法の開発とその酸化的カップリングによる大環状オリゴマーの合成を行った。また、1の各種誘導体ならびに大環状オリゴマーの酸化還元特性を調査した。3、4量体が単量体となるエチニル体1と類似した酸化波を与えるのに対し2量体においてはユニット間での相互作用による分裂した酸化波を示した。 (b)可逆的結合を利用したマクロサイクル合成とその機能-(Z)-2,6-ジカルボン酸誘導体に認められた強固な自己会合による2量体の箱型構造に着目し、(Z)-2,6-ジアルデヒド誘導体と芳香族ジアミンからなる可逆なイミン結合形成に基づくマクロサイクル合成を行った。平衡混合物においてその構造的特徴を皮映した2:2の箱型構造が主に形成されること、また、脱水条件下において90%程度の収率で得られることが明らかとなった。また、その還元によりテトラアミン体へと導き、ホスト-ゲスト特性を調査した。 (C)新規官能基化ロタキサンの合成-(E)-2,6-ジアルデヒド誘導体では、置換基はインダセン骨格を挟んで逆方向にほぼ平行に配列される。この特徴に着目してインダセン骨格をテンプレートとして利用し、かつ、その骨格を軸部とするロタキサン形成に検討を加えた。イミン結合による軸部と2分子の半環部を連結し、その後環部のマクロサイクル化を行った。このものは酸加水分解においてイミン結合が切断されることが確かめられた。ストッパーを有するロタキサン合成についても検討を行っている。
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