研究概要 |
センサアレイを用いて到来信号数を検出すること,および複数の到来方位を同時に推定することは,古くから地震波解析,電波天文,レーダー,ソナーの分野における基本問題である.しかしながらこれらの基本問題を解決する技術は,将来の情報技術において必要とされる基礎技術となる. 本研究では,雑音環境下での音波あるいは電波の到来信号数検出および到来方位推定のための高精度,高分解能,高効率なアルゴリズムを開発した.具体的には以下の通りである. 1.音波あるいは電波の発信源が移動する場合,あるいは受信側が移動する場合,受信信号が定常的であると見なすことができる時間幅が制限される.このような状況を対象に,雑音環境下で入手される観測データ数が少数の場合でも,高い正解率で信号個数が検出できる評価関数の決定法を確立した. 2.マルチパスによって生じるコヒーレントな信号は,互いに信号の受信を邪魔しあい,受信信号の品質の劣化すなわち,受信データの誤りを引き起こす.これらを分離するために,まず,コヒーレント信号の到来信号数検出のための効率的なアルゴリズムを開発した. 3.コヒーレント信号の到来方位推定のための効率的なアルゴリズムを開発した. 4.サケの母川回帰行動解明の実証のために,現在進めているサケの自動追尾システムでは,マルチパスの影響でサケの定位が不正確になることがある.本研究で開発するアルゴリズムをサケの自動追尾システムに応用することを検討している.
|