研究課題/領域番号 |
14560031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
園芸・造園学
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研究機関 | 広島県立大学 |
研究代表者 |
近藤 悟 広島県立大学, 生物資源学部, 教授 (70264918)
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研究分担者 |
瀬戸 秀春 理化学研究所, 植物機能研究室, 専任研究員 (40175419)
平井 伸博 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (00165151)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 生理活性物質 / ジャスモン酸 / アブシシン酸 / ファゼイン酸 / ジヒドロファゼイン酸 / キサントキシン |
研究概要 |
生理活性物質ジャスモン酸(JA)とアブシシン酸(ABA)の果実発育への影響およびこれらの相互関係の解明のため、リンゴ果実の発育過程での果肉および種子における、ABA生合成の上流物質であるキサントキシン(XAN)から下流のジヒドロファゼイン酸(DPA)までの代謝を検討した。モル換算で、未熟果でのXAN濃度はABA濃度に一致した。また追熟過程の進行とともに、XANは減少し一方ABAは増加した。プレクライマクテリックおよびクライマクテリック期で、ABA濃度はXAN濃度より高かった。追熟果でのXANの低濃度はABAへの急速な転換を示唆した。XAN濃度は種子中では未熟期に高かったが、種子成熟に向けて減少し、一方ABAは増加した。すなわち果肉および種子の両者において、XANの減少はABAの増加につながり、このことはABA前駆体としてのXANの役割を示すものと考えられた。果肉においてファゼイン酸(PA)はABAと同様に変化した。epi-DPAの最大値はABA最大値の67%であり、一方DPAの最大値はABAの11%であった。それゆえ、epi-DPAが果肉におけるPAの主要代謝物であるかもしれない。一方、種子においてはDPAがPAの主要代謝物であった。リンゴ果実のアントシアニン蓄積に、JAはエチレンと独立して関連していることを以前に明らかにしたが、圃場で処理した場合天然型JAは分解しやすいため、安定的な効果を保つJA誘導体の合成を行った。いくつかの誘導体合成を試み効果的な誘導体のスクリーニングを行った。マンゴー果実において、発育期におけるJAとメチルジャスモネイト(MeJA)を定量した。果皮および果肉中のJA濃度は果実発育初期に高く、発育中に一度減少した後、成熟期に再び増加した。果皮のJA濃度は果肉のそれより高かった。JAと異なり、果肉の1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)の濃度は果皮より高かった。この結果はJAとACCの両者は果実成熟に関与するが、それらは異なった役割を演じるかもしれないことを示す。種子中のJAは成熟に向けて減少した。マンゴー種子は休眠を持たないことと関連するものと考えられた。貯蔵中のジャスモネイトの推移も検討した。果皮と果肉のジャスモネイトは貯蔵果で増加した。加えて、JA濃度の増加は水分損失の顕著な果実で大きかった。このことは、果実の老化中に起こるJA蓄積は水分損失と関連すると考えられた。マンゴー果実のプレクライマクテック期とクライマクテリック期でのJA処理が内生ABA濃度に及ぼす影響を検討した。プレクライマクテリック期では内生ABA濃度に大きな変化はみられなかったが、クライマクテリック期でのJA処理は内生ABAを減少させた。クライマクテリック期ではエチレン濃度も高いことから、JAとABAの関係にエチレンも関連していると考えられた。
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