研究課題/領域番号 |
14560031
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研究機関 | 広島県立大学 |
研究代表者 |
近藤 悟 広島県立大学, 生物資源学部, 教授 (70264918)
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研究分担者 |
瀬戸 秀春 理化学研究所, 植物機能研究室, 専任研究員 (40175419)
平井 伸博 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (00165151)
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キーワード | 生理活性物質 / ジャスモン酸 / アブシシン酸 / ファゼイン酸 / ジヒドロファゼイン酸 / キサントキシン |
研究概要 |
果実発育に大きな影響を持物質ジャスモン酸(JA)とアブシシン酸(ABA)の機能および相互作用の解明のため、ABAの前駆物質キサントキシンの合成および同定を行った。抽出はホウレンソウの葉およびカボチャ果実の10kgを供試し、始めにアセトン等有機溶媒を用いて抽出分配し、HPLCにて精製しビオラキサンチンおよびネオキサンチンの単離を行った。その後の紫外線照射および酸化反応によりキサントキシンを得た。キサントキシンの同定は^1HNMRにて行った。環境ストレスへのABAの関わりを解明するため、熱帯果実マンゴスティンを供試し、7℃と13℃下に貯蔵し低温障害とABAレベルおよびこれらの温度下での代謝を検討した。低温障害を誘発した7℃下の果皮では有為にABAレベルが増加し、しかしながら低温下でも障害発生を抑制したポリアミン処理果ではABAレベルの増加は観察されず、組織障害へのABAの関与が示唆された。ABA代謝は各温度で異なった。ABAの減少とその代謝物ジヒドロファゼイン酸(DPA)の増加は13℃下では観察されたが、7℃下では認められなかった。低温下でABAは、速やかにDPAより下流の代謝物に代謝されるか、ABAグリコシルエステルに代謝されることが推察された。カルス形成に及ぼすジャスモン酸の影響が検討された。低濃度のJAはオウトウ果実の細胞分裂期の果肉細胞からのカルス形成を促進した。しかしながらその作用は、細胞肥大期の組織では観察されず、また高濃度のJAは逆にカルス形成を抑制した。以上の結果は、低濃度のJAが細胞分裂促進に寄与していることを示す。オウトウの果肉ディスクを供試しABAとJAの相互作用を検討した。各発育段階でABAはJAレベルに影響しなかった。一方、JAはABAレベルを減少させ、ABA合成経路への関与を伺わせた。JA処理によるオウトウ果実のアントシアニン合成への関与は観察されなかった。
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