研究分担者 |
藤塚 秀樹 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (90262766)
山下 知巳 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (80345793)
牧田 浩樹 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (50345790)
柴田 敏之 岐阜大学, 医学部, 教授 (50226172)
加藤 幸弘 岐阜大学, 医学部, 助手 (30293567)
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研究概要 |
Comparative genomic hybridization法(CGH法)は,腫瘍細胞DNAコピー数の異常(増減)領域を全染色体上において一期的に検索できる画期的な分子生物学的手法である。CGH法を用いた染色体/遺伝子異常の検索は,既にさまざまな臓器組織の腫瘍においてなされているが,歯原性腫瘍に関する研究はきわめて少ない。 本研究では,代表的な歯原性腫瘍であるエナメル上皮腫10例につき,CGH法を用いてDNAコピー数の異常を検討し,さらにCGH法にて異常の認められた染色体領域の一部について,fluorescence in situ hybridization法(FISH法)を用いて異常の詳細につき検討を行った。 CGH法による検索では,10例中1例において1qのgainと1pter,10qおよび22qのlossが認められ,他の症例では明らかな異常は認められなかった。CGH法にて異常の認められた第1染色体に関して,Ch1 centromereを認識するprobeを用いてFISH法を行ったところ,CGH法にて異常を示した症例においてtrisomic cellsが全細胞中の41.2%と高頻度に認められ,他の1例においても15.4%と有意な増加が認められた.さらに上記2例以外の8例中5例ではmonosomic cellsが10〜33%と有意に増加しており,CGH法では検出できないレベルでの第1染色体における遺伝子異常の存在が示唆された。また10q26に対するprobeを用いた検索では,CGH法にて異常を認めた症例においてmonosomic cellsが21.4%,trisomic cellsが22.0%と有意に増加しており,CGH所見によく合致する成績であった。これらの染色体領域における異常がエナメル上皮腫の発生に関与している可能性が示唆されるが,今後も症例を蓄積するとともに種々のprobeを用いたFISH法によるさらなる検討を続けていく予定である。 なお本研究は,ハンガリーのデブレツェン大学医学部予防医学教室のMargit BALAZS助教授およびRoza ADANY教授の協力のもとに行われ,現在も進行中である。
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