研究概要 |
サプライチェーン・マネジメント(SCM)とは,製造業において,製品開発,調達,製造,流通,販売にわたる物流のビジネスプロセスを統合的に管理する方法である.本プロジェクトの目的は,インターネット,ERP等の情報ネットワークを用いた,サプライチェーンにおける革新的のビジネスモデルを構築することである.本プロジェクトでは次の3つの課題に取り組んだ. 1.サプライチェーンに於けるビジネスモデルの研究:SCMは,需要サイドのモデリングと供給サイドのモデリングの統合であるという知見に基づき,オペレーションズ・リサーチ誌で,従来個別に扱われてきた,マーケティングモデルとオペレーションモデルを統合する最適化の枠組みを発表した.また,筑波大学で主催した産学官のビジネスモデル研究の共同プロジェクトの成果を報告書にまとめた. 2.グローサリー産業におけるECRの研究:サプライチェーンにおける,ビジネスモデルとして,セブン・イレブン等に代表されるグローサリー産業における革新を調査し,体系化した.特に,鮮度感を強調する商品のためのサプライチェーンの構成と運用を調査し,その特徴を抽出し,この分野の国際的学術雑誌であるECR Journalに発表した.鮮度志向の商品のSCMの研究としては,先進的な研究と評価されている.また,日本の食品産業における多くの事例に基づき,新商品のイノベーションが,コンテントのみならず,販売プロセス,サプライチェーンに関連して起こっており,サプライチェーンの構成が,商品コンセプトの一部となっていることを確認し,企業行動カンファレンスで発表した. 3.半導体産業におけるスケジューリングの研究:半導体産業のSCMは,その製造工程が複雑であるので,非常に困難なものとなっている.製造工程における物流を最適化するような仕組みを情報システムに組み込むという観点から研究を行った.半導体製造における,生産計画と物流のコントロールの方法として,階層的な分散情報システムを提案し,その効果を検証した.この研究に関する一連の成果は,4つの国際会議で発表した.この研究には,2004年度のスケジューリング学会の学会賞(技術部門)が授与された.
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