研究課題/領域番号 |
14654155
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柴田 叡弌 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30252282)
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研究分担者 |
佐藤 宏明 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (20196265)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 種子散布 / ニホンジカ / 糞虫 / 草本植物 / シバ群落 / 奈良公園 |
研究概要 |
大型草食獣の採食は自然植生に影響を及ぼしているといわれている。奈良公園においては、ニホンジカの採食によりシバ群落が維持されている。また、ニホンジカが高密度で生育する奈良公園には、豊富な糞虫種がみられ、ニホンジカの糞が糞虫により分解されている。本研究では、草本植物、ニホンジカおよび糞虫の三者間の相互作用を明らかにすることを目的として、奈良公園において試験地を設定した。 (1)ニホンジカが採食していると考えられる草本植物は13科21種であった。その中で優占的に生育していた種は、シバ、ノチドメおよびアキメヒシバであった。このことから、これら3種を中心とする様々な草本植物の種がニホンジカにより種子を散布されていると考えられた。 (2)ニホンジカの糞には10科15種の草本植物の種子が含まれていた。その中で優占的に見られた種は、シバ、ノチドメ、アキメヒシバおよびツメクサだった。このことから、様々な種の草本植物がニホンジカによって種子を散布されていることが明らかとなった。 (3)夏季における糞虫の糞分解による糞塊消失速度は高く、このことが糞に含まれている種子の出芽に影響を及ぼしていることが推測された。大台ヶ原における糞虫の糞分解とも比較した。 (4)糞虫による糞分解の有無が、糞に含まれている種子の出芽の影響についてに明らかにした。 (5)以上のことをまとめると以上のようである。 ・調査地である奈良公園の植生は短草型装置で遷移が停滞していた。このことは短草型という生物的極相を作り上げている要因が弱まれば、すぐに高茎草本や木本に置き換わってしまう可能性を示唆している。 ・このような生物的極相を作り上げている要因として、ニホンジカによる採食と踏圧が考えられる。採食や踏は耐性のない植物を駆逐し、侵入を阻害している。これは高槻(1989)によって提案された草食動物の被食に対する植物の被食戦略を支持している。 ・また、ニホンジカが長期にわたって採食することは、短草型草地を安定的に維持していることが示唆されたが、その種構成は動的であることが示された。
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