研究課題
特別研究員奨励費
近年の研究により、少なくともNMD経路においては、標的でないmRNAからのUPF1タンパク質の解離が速いことが、UPF1による基質認識に重要であると示唆されている。そこで、UPF1標的mRNAが選択的に分解されるメカニズムとして、標的RNAからのUPF1タンパク質の解離の違いに着目した。つまりは、標的RNA上でUPF1の解離が遅くなることで、RNA上にUPF1が滞留しているのではないかと仮説を立てた。もしこの仮設が正しければ、GC-richなモチーフ配列からのUPF1タンパク質の解離が遅くなるはずであるだと考えた。まず、32P標識したGADD45Bの3’UTR配列について、元のGADD45BのRNA配列(WT)とGC-richな配列をアデニンに置換したRNA配列 (MUT)の2種類を用意した。それぞれのRNAをUPF1タンパク質とIn vitroで結合させ、その後、非標識RNAとATPを加えたときに、標識RNAからのUPF1の解離のされやすさを調べた。ゲルシフトアッセイの結果、それぞれのRNA(WTとMUT)はいずれもUPF1タンパク質と結合していることを確認した。一方で、非標識RNAを加えた後、MUTのRNAからのUPF1タンパク質の解離は、WTのRNAと比較して速いことがわかった。また、ATPをさらに添加した条件下では、MUTのRNAからのUPF1タンパク質の解離の程度が大きくなることがわかった。RNAヘリケースであるUPF1のRNA上の運動にはATPが要求されるという考えに合致する結果と解釈した。以上の結果から、UPF1はGC-richな配列をアデニンに置換したRNAと比較して、GC-richなモチーフ配列を含むRNA上から解離しにくいことが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Genome Research
巻: 27 号: 3 ページ: 407-418
10.1101/gr.206060.116
Oncogene
巻: 2015 Nov 2 号: 27 ページ: 3495-3502
10.1038/onc.2015.410
Methods in Molecular Biology
巻: 1262 ページ: 305-20
10.1007/978-1-4939-2253-6_19
BMC Genomics
巻: 16 号: 1 ページ: 154-154
10.1186/s12864-015-1358-y
Molecular cell
巻: 53 号: 3 ページ: 393-406
10.1016/j.molcel.2014.01.009