研究課題
基盤研究(B)
神経活動がどのようにシナプス再構成を制御するか?我々は神経活動によって発現制御されるプロとカドヘリンArcadlinを見出し、既に報告している。この研究課題では、Arcadlinがシナプス形成に必須なN-cadherinと共に、シナプス再構成を制御することを明らかにした。すなわち、Arcadlinは神経活動によって誘導され、シナプスへ運ばれ、そこでN-cadherinと結合する。結合したArcadlin-N-cadherin複合体はエンドソームに移行し、その結果スパイン形成が抑制される。逆に、Arcadlinノックアウトマウスでは、野生型マウスよりも多くのシナプスを作ることも分かった。さらに、このエンドサイトーシスのメカニズムを明らかにするため、Arcadlinの細胞内領域と相互作用する分子を探索したところ、p38MAPキナーゼの上流に位置するTAO2キナーゼ(TAO2β)が同定された。Arcadlinの細胞外同種結合によって、TAO2βが活性化され、p38MAPKがリン酸化される。そして、活性化されたp38MAPKがTAO2βのC末端領域のセリンをリン酸化することによって、N-cadherin/Arcadlin/TAO2β複合体がco-endocytosisを起こすことを初代培養海馬ニューロンを用いて明らかにした。以上の結果から「このカドヘリン-TAO2-MAPKの細胞内情報伝達機構が、神経活動によるシナプス再構成を制御する」と言う仮説を提唱する。この仮説を証明するためには、将来的にArcadlin欠損マウスを用いた学習・記憶実験が必要になるであろう。さらに、スパインに存在する接着分子がシナプスリモデリングを制御するという直接的な証拠や、p38MAPKが受容体のエンドサイトーシスも制御するという可能性についても、今後検討する必要がある。
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