研究概要 |
本研究は,陽子・反陽子衝突実験(CDF実験)において,トップ・クォークにおけるCPの破れおよび崩壊の異常結合を研究するものである。標準模型を超える物理の探索を行ない,宇宙でのバリオジェネシスに知見をもたらすことを目指す。RUN-II実験では,高統計量でトップ・クォークが対生成されると期待されており,トップ・クォークの生成・崩壊メカニズムの研究は特に重要である。ハドロン・コライダーにおいてはトップ・クォークのスピンを再構築することは容易ではないが,我々はトップ・クォークのセミレプトニック崩壊に適用できる手法を開発した。トップの有効スピンを再構築するサイン・ヘリシティー方向と呼ばれる手法である。これはトップの静止系でレプトンの方向をトップのヘリシティー方向へ射影するものである。この新しい定義では、トップ・クォーク崩壊の任意の角度分布は,真の偏極したトップ・クォークからの崩壊角度分布をよく再現することを確かめた。この新しいトップ・クォークの有効スピンを,トップ・クォーク崩壊バーテックスにおける異常結合の研究に用いることを考案した。この手法は、従来のビームライン・ベーズや非対角ベースによるトップ・クォークのスピン軸の定義よりも異常結合に感度がある。トップ・クォークの異常結合をWボソンと荷電粒子の角度分布相関から測定する方法について研究を行った。また解析では,レプトン+4ジェットのイベントについて最尤法を用いた。TevatronおよびLHC加速器における実験での感度についても研究を行った。この手法が有効であることがわかった。
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