研究概要 |
近接場ナノ光学で金属微小開口を利用して光波長以下の微小スポットサイズを生成する技術は最も基本的なものである.より微小な開口を使えば,より微小なスポットサイズ生成が可能で,例えば近接場走査顕微鏡の解像力を上げることができる.しかし,微小開口を波長以下に小さくするにつれ,微小開口の通過光エネルギー(スループット)が低下し,NFO装置のS/N比は急速に劣化する.従来,開口スポットサイズの微小さとスループットの大きさは相反する関係と考えられてきたが、申請者らは金属微小開口の形状を亜鈴型にすれば表面プラズモンの利用でこの相反する関係が打破できることを発見した.亜鈴型開口形状は,微小スポットサイズにもかかわらず,従来の開口に比べ約1000倍のスループットを持つ開口になる.この光近接場局在増強現象は金属開口側面に励起される表面プラズモンに起因することを確認した.開口形状パラメータの最適化,コーン形状亜鈴形開口の数値シミュレーションを実行し、より実用的な開口を設計した.近接場ナノ光学において表面プラズモンポラリトンは重要な働きをするものと予想され,より大規模,より複雑,より高速な数値シュミレーションコードおよびシステム開発が研究進展のカギである.現在所有のワークステーションに新しいサーバーを加え,未知数1000万の複素数密行列を持つ連立一次方程式を解く並列計算システムを開発した.さらに,システム開発と共に近接場ナノ光学・表面プラズモンポラリトンの大規模シミュレーションを実行した.
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