研究概要 |
システムの設計・計画・運用等に関わる工学的問題解決について,大規模化・複雑化するシステムを対象とする場合,環境あるいは意思決定者の選好等を事前には完全にモデリングできないといった状況下においても,その求解過程において解くべき問題(考慮すべき制約や意思決定者の選好など)を対話的・適応的に引き出し得る双方向インタラクション(人間と計算機(モデルや解法)の共適応・共進化)を内在化した創発的アプローチが重要となる. そこで,本研究課題においては,モデリング過程を求解過程に統合・融合した方法論の構築を目的とし,解決すべき問題を対話的・適応的に引き出すための双方向インタラクションを実現する情報場を設計するとともに,この情報場における双方向インタラクションを通して,有望な解候補を探索するとともに意思決定者の望む状況を問題解決モデルとして反映・考慮できる枠組みを,これまでの創発的計算アプローチを発展させる形で構築した.成果の概要は以下の通り. (1)情報場の設計・実装:サブモデル間でのインタラクションを陽に考慮した階層型自律分散モデルの構築と,このモデル(枠組み)をベースとしたシミュレーション・モデルおよび意思決定モデルのプロトタイピング. (2)創発的計算アルゴリズムの再構成:遺伝的機械学習を核に,インタラクションを内包したシミュレーションによる意思決定(支援)ルールの適応的な調整・獲得法の再構成. (3)問題解決モデルの共適応:自己組織化あるいは共進化の概念に基づく問題解決モデルの抽出・学習法の実現. なお,これらはいずれも相補的な役割を果たすものであり,これらを合わせることによって,インタラクティブかつフレキシブルな問題解決・意思決定支援を可能とする創発的方法論の実現が期待される.
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