研究課題
基盤研究(C)
申請者は1971年以来、ニホンザル、トクモンキー、ゲラダヒヒ、マントヒヒ、アヌビスヒヒ、マントとアニビスヒヒの自然雑種について、それぞれの集団を構成する可能な限り多数の個体から採血を行い、血液蛋白の遺伝的変異を標識として、集団構造や系統関係の研究を行ってきた。そして各種のサルの遺伝的特性を血液蛋白レベルで明らかにしてきた。本研究ではこれまでに明らかになっている各種の遺伝的特性をDNAレベルでより詳細にしようと意図したものである。ニホンザルについては平成9年〜平成12年度の科学研究費、基盤(A)により主としてマイクロサテライトDNAを用いて、一部はミトコンドリアDNAを用いてこのサルの詳細な遺伝的特性を明らかにした。本研究でのミトコンドリアDNA用いた解析は同じ研究室の川本助教授が主体的に行っていたので、そちらに協力して詳細な結果がえられたのでそれを報告書に載せた。申請者はヒヒ類とトクモンキーに力を注いでいたが、平成16年度半ばに体調を崩し、当初の目的は達せられなかった。しかし既に目的の個体のDNAはほとんど抽出が終わっていたので、エチオピアとサウジアラビアのマントヒヒの遺伝的関係を解明できた。血液蛋白レベルで予想されたマントヒヒのアラビア起源は立証することは出来ず、さらなる研究の必要性が示唆された。ゲラダヒヒとトクモンキーも目的の全個体からDNA抽出は終わっているが、両方とも解析は終了できず未完である。幸いトクモンキーについては、他分野の教官が近未来にスリランカから国費留学生を引き受ける予定で、その学生が自国のトクモンキーの集団遺伝学をDNA標識で研究したい希望なので、指導教官ともども直接面談して、申請者の研究室も全面的に協力して、留学生に託すことにした.ゲラダヒヒは世界で唯一申請者が保有する貴重資料であるので、これの遺伝的解析を希望する人も複数いるから、申請者と一緒に近未来に結果を出せる予定である。
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Primates 48
ページ: 27-40
霊長類研究 20
ページ: 137-141
10014286744
Primate Research 20