研究概要 |
わが国の経済発展を担うものづくり基盤技術は,就業構造の変化や海外地域における工業化の進展等による影響を受けて,継承が困難になってきている。それは,ここ数年来学生のものづくりなどの創造力を発揮する能力の低下に表れている。これは基本的な実験・実習を経験していないことや,理論と実際(実用回路)の関連づけた思考力に劣っていることが原因の一つである。 このような状況下で高専におけるものづくり教育を効率的かつ系統立てて行うためには,小学校や中学校から連携した教育内容とする必要があると確信し,研究を継続してきた。 具体的には,入学早々から半田付け実習(本学は電子・情報系学科で構成)を始めとして,電子回路の作成を系統的に関連づけて行う目的の,これまでなかった具体的な指導書作成を行った。カリキュラム改定期にあたり,学年一斉の実施は困難であったが,一部項目についてはデータを得ることが出来た。 高学年学生には,マイクロコントローラによる制御を必要とする実用的な回路作成を課し簡単なハードウェアやプログラムでも機能の高いものづくり教材が製作出来ることを体験させた。これらを基本にして,実験や課外活動で学生が実際にものづくりを行い,創造性を育成することが確認され,一部は学会で発表した。 また,小学校や中学校におけるものづくりに関する理科や技術科の調査を行ったところ,新指導要領における教科書中の具体的な記述や取り扱いは少ないが,小・中学校教諭や教育センターの研究機関研修員の実践から,ものづくりが有効な理科実験や科学教育のテーマが存在することが判った。具体的には,小学校の理科電気分野における電流認識や,電磁石を使った磁界認識に利用が可能な教材を発案・製作し,同時に学習指導案も作成して提供した。 この利用結果は平成16年4月に小学校教諭から研究報告書として研究者に報告された。小・中学校との共同研究の一部は研究誌に発表した。
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