研究課題/領域番号 |
15740289
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山中 勤 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (80304369)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2005年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 水循環 / 同位体 / トレーサー / 降水起源 / 陸域再循環 / 大気水輸送 / 同位体水文気象学 |
研究概要 |
昨年度実施した野外観測を補完するために、湖面上での水蒸気同位体測定を行なった。その結果にもとづいて、水面蒸発フラックス同位体組成の基礎理論であるCraig-Gordonモデルの再検証を行ったところ、その妥当性が改めて確認されるとともに、適切なパラメータ選択について新たな知見が得られた。また、樹種構成の異なる森林での補足的な同位体調査結果から、植物蒸散による同位体フラックスを求める場合、植物の吸水深度が共存樹種構成によって変化することを考慮に入れる必要があることが明らかとなった。 以上の結果にもとづき、日本のように土地利用が複雑な地域にも適用できるよう、昨年度開発した陸域再循環率算定アルゴリズムを改良した。昨年度取得した水蒸気同位体広域分布を用いてこの手法の適用を試みたところ、2004年6月14日のつくば市周辺域の陸域再循環率はおよそ25%であり、霞ヶ浦近傍に限れば再循環水の約60%が霞ヶ浦からの蒸発によってもたらされているという結果が得られた。ただし、これらの数値は気象条件によって当然異なる。また、夏季の水田では、水面蒸発よりも稲からの蒸散のほうが重要であることも見出された。 同位体トレーサーアプローチによる陸域再循環率算定結果と比較するために、領域気候モデルを用いた評価を研究協力者と共同して実施した。モンゴル高原について適用した結果、半乾燥草原での再循環率算定に関しては、同位体トレーサーとほぼ同様の結果が得られた。ただし、大陸規模の再循環率を評価するにあたっては同位体的手法の限界が明らかとなった。領域気候モデルによる評価の妥当性にも検討の余地があるため、大陸スケールの再循環率算定は今後の大きな課題の一つである。一方、モンゴルの降水の同位体組成は陸面再循環過程よりも気団の温度変化に対して敏感であり、温度変動の良いプロクシとなり得ることが見出された。この知見は、大陸内部の気候変動を復元する上で貴重な副産物と言える。
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