研究課題
特別研究員奨励費
原始星円盤形成領域について、ガスの物理構造と化学組成の進化に関する観測的研究を行った。アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計を用いた観測データの解析を、2つの若い太陽型 (低質量) 原始星について実施した。Class 0低質量連星IRAS 16293-2422のSouce Bについて、原始星の周囲で、分子種毎に放射領域の分布の違いがあることを明らかにした。OCS分子とH2CS分子は半径300 au程度に広がって分布するのに対し、複雑な飽和有機分子 (CH3OH, HCOOCH3) はより狭い領域 (半径50 au程度) に集中して分布することがわかった。このことは、以前に報告した連星系のもう一方であるSource Aでの様子とよく一致する。Source Aでは、OCSが回転落下するエンベロープガスに分布し、飽和有機分子がエンベロープとその内側の円盤との境界に局在することを報告している。Source Bは、一般に速度構造の観測が困難なface-onの向きをしているが、この化学組成の変化を利用することで、円盤/エンベロープの物理構造が推定された。この成果を学術論文として発表した (Oya et al., 2018, ApJ, 854, 96)。Class 0原始星コアL483について、東西に噴く双極のアウトフローの構造を解析した。CS輝線で捉えられたアウトフローキャビティーの壁の速度構造は、簡単な放物面モデルで概ね再現された。しかし、観測された速度構造はモデルから系統的に外れる傾向が見られ、アウトフローの回転運動が示唆された。この回転運動は、以前に報告したエンベロープガスがもつ比角運動量と同程度と推定された。この成果について、学術論文誌への投稿を準備中である。これまでの成果を博士論文にまとめ、9月15日付で所属大学院の博士課程を修了した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件)
The Astrophysical Journal
巻: 854 号: 2 ページ: 96-96
10.3847/1538-4357/aaa6c7
巻: 837 号: 2 ページ: 174-188
10.3847/1538-4357/aa6300
Astrophysical Journal
巻: 824 号: 2 ページ: 88-106
10.3847/0004-637x/824/2/88
巻: 812 号: 1 ページ: 59-70
10.1088/0004-637x/812/1/59