研究課題
特別研究員奨励費
2016年度は、前年度にNMRや熱測定で得られたc-Myb DNA結合ドメインに関する知見をさらに多角的に評価するべく、1分子解析や高圧下での研究を進めた。1分子解析は、SPring-8の高輝度X線を用いた時分割測定(DXT)を適用し、DNA結合に伴う運動性変化をミリ秒~マイクロ秒で追跡した。測定にあたり、変異体の作製やプローブのラベル部位などの検討も進め、1分子系のアンサンブル量の運動性変化と多分子系での揺らぎの情報がよく相関することを明らかにした。加えて、DNA結合状態での揺らぎの減少が認められ、これはITCやDSCで得られたエントロピー変化量の結果と相関することも明らかとなった。高圧解析では、ダイアモンドアンビルセルを用いて、1 GPaを超える圧力まで測定することで、圧力軸での安定性の差異を明らかにすることに成功した。対象タンパク質の変性圧力中間点は約800 MPaであり、蛍光やNMR測定条件下においてはフォールド構造内の揺らぎを検出可能であることも示した。また、変異体を用いた実験により、タンパク質内部のキャビティと部分モル体積変化(ΔV)との間に良い相関を見出した。これらの結果は、これまでの温度変化やpH変化により得られた揺らぎの情報とも一致する。現在、双方ともに論文執筆中である。さらに、リピート間の構造安定性に着目した研究も進め、c-MybがDNA結合に2つのリピートが必須である裏付けをフォールディングに関わる熱力学量により実証した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
熱測定
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