研究課題
基盤研究(C)
日本各地のヒスイ(ヒスイ輝石岩類)と、その鉱物中の微小な流体包有物(数ミクロン)の内容物と塩濃度を調査した。プレート収束域で生成したヒスイには、沈み込んだ花こう岩類が変成作用を受け、沈み込むスラブ表面に沿って上昇する経路を経たものと、スラブ流体から生成した(スラブ表面から離れる経路の)ものがあった。スラブ表面に沿って上昇したヒスイ輝石岩とその曹長岩反応縁は薄い塩水を取り込み、スラブ流体から生成したものは濃い塩水を取り込んだ。これはスラブ表面付近の塩水が薄いことを示唆する。これよりヒスイの2つ成因を共に説明した新しいモデルと、成因の異なるヒスイに取り込まれたスラブ流体の2つの循環経路を提示した。
地球規模の物質循環の中で、プレート収束域において過去にヒスイの生成や発達に関わる物質移動に重要な役割を果たした、海水起源とされる塩水の情報を捉えた。プレート収束域の地殻-マントル境界付近において、過去に地下深く沈み込んだヒスイ(日本産)と、その鉱物中に数ミクロンの微小な包有物としてカプセルのように保存された塩水を調べた。塩水の内容物と塩濃度の違いから、ヒスイの2つの成因を共に説明する新たなモデルを考案した。さらに、成因の異なるヒスイに封じ込められて運ばれた、地下深部の水の2つの循環経路を提唱し、国石としても知られるようになったヒスイの成因と科学的意義を示した。
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