研究課題/領域番号 |
15K12943
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
ヨーロッパ史・アメリカ史
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
水野 博子 明治大学, 文学部, 専任教授 (20335392)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2016年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2015年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 戦争犠牲者 / 犠牲者援護政策 / オーストリア現代史 / 戦争障害者 / 国民福祉 / 国民 / オーストリア / 犠牲者国民 / 犠牲者支援 / 犠牲者援護 / 傷痍軍人または戦傷病兵 / 戦争未亡人 / 戦争孤児 |
研究成果の概要 |
本研究の目的は、戦時中ナチ体制下に置かれ、戦争経済システムへと統合されていたオーストリアが、国家再建・国民統合を進める際にどのような戦後補償制度を整備したかを明らかにすることにあった。とくに、戦争時の爆撃や出兵によって被害を受けた者とその遺族など国民の大部分を包含する立法であった「戦争犠牲者援護法」の制定過程に着目し、主に未刊行資料の調査を通して、「戦時福祉」から「国民福祉」へと転換する筋道とその論理を中心に探究した。その結果、WWI期とWWII期の戦争犠牲者が「オーストリア国民」として一つに統合される一方、ユダヤ系のように「人種」的に迫害された犠牲者らが排除されていくことがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は、戦時中ナチ体制下に置かれていたオーストリアの国家再建・国民統合が、戦後補償制度の整備を通して進められたことを歴史的に明らかにした点にある。とくに、身体に障害を負った従軍兵士らへの補償や戦没者の遺家族(女性と子ども)など国民の大部分を包含する立法であった「戦争犠牲者援護法」の制定は、「戦時福祉」から「国民福祉」へと転換する際に重要な役割を担ったことを明らかにした。しかしそこにはWWI期とWWII期の戦争犠牲者を「オーストリア国民」として一つに統合する一方、ユダヤ系のような迫害の犠牲者を排除する動きがみられたこともわかり、国民福祉の排除と包摂の両面に光を当てることができた。
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