研究課題
若手研究(B)
地域住民を対象とした縦断研究から、エストロゲン受容体遺伝子型を考慮し大豆製品摂取が認知機能低下を抑制するか否かを明らかにすることを目的とした。解析の結果、①女性ではより多くの大豆製品摂取量によって認知機能低下リスクが低下した。②男女ともにWAIS-R下位検査得点の15年間の変化には大豆製品摂取量の多寡は影響しなかった。③女性ではエストロゲン受容体遺伝子型の違いにより大豆製品摂取量と認知機能低下リスクとの間に異なる関連性が見られた。このことから大豆製品をより多く摂取する食生活は認知機能低下を抑制する上で重要だが、その関連性には性とエストロゲン受容体遺伝子型の違いが関与する可能性が示唆された。
本研究から大豆製品摂取が日本人中高年者の加齢に伴う認知機能低下リスクを抑制するのに重要であるが、その関連性は性、エストロゲン受容体遺伝子型によって異なる可能性があることを明らかにできた。本研究結果は、加齢とともに衰える認知機能を個人の体質に応じて介入可能な食事によって維持する可能性を見出すものであり、栄養指導などの場面において認知機能維持に必要な大豆摂取内容を提案でき、効果的かつ具体的な食行動に役立てることができる。また、日本の伝統的な食品である大豆製品が認知機能低下リスクを抑制する可能性があることから、大豆製品を取り入れた食事(和食)の良さを科学的に発信できる。
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