研究成果の概要 |
可算とは限らない群 G の, 部分群からなる族を 2 つとり, H と K とおく. ただし, K の任意の元に対し, それを含む H の元が必ず存在しているとする. 本研究で, 群 G が H に関して相対的双曲性をもつことと, 群 G が K に関して相対的双曲性をもつことが同値となるための H と K に関する条件を与えた. また, 群 G が H に関して相対的双曲性をもち, さらに, 群 G が K に関しても相対的双曲性をもつとき, G の部分群 L が H に関して相対的に擬凸であることと L が K に関して相対的に擬凸であることの関係性を考察した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
相対的双曲性をもつ群に関するこれまでの世界的な研究の流れとしては, 1つの相対的双曲構造(RHS)に着目して, その群の性質を調べるというものが大部分であった. また, グロモフの双曲群に対して成り立つ定理が, 相対的双曲性をもつ群に対しても一般化できるか, という方針の下での結果が大部分であった. そんな中,「与えられた群に対し, その群のRHS全体に着目する.」「部分群の包含関係から決まる自然な半順序を, その群のRHS全体からなる集合に入れる.」という着想に基づく本研究は, 相対的双曲性をもつ群に対し, グロモフの双曲群の単なる一般化を超えた新しい意味づけを与えている.
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