研究課題
若手研究(B)
本研究では、タバコの構成主成分の1つであるニコチンに着目し一連の実験を行ってきた。ニコチンは喫煙者の血中に高濃度で存在するが、ニコチン自身の発がん性は証明されていない。ニコチン刺激が口腔がん細胞の増殖や分裂、分化におよぼす影響について口腔がん細胞を用い、ウェスタンブロット法を中心とした分子生物学的手法を用い解析を行った。ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を介して上皮成長因子受容体(EGFR)のリン酸化を誘導し、その下流の分子促進因子活性化タンパク質を活性化することを確認した。これらより細胞増殖シグナルを活性化し、ニコチンが口腔がん細胞の増殖・分裂促進に働く可能性が示唆された。
種々の病気に対し、タバコは明らかなリスクファクターとして認識され、単一で最大の生活習慣病の原因である。特に、口腔がんは発生部位である口腔の特殊性から、摂食・咀嚼・嚥下障害、発音障害、味覚障害など重要な口腔機能が障害されることにより患者のQOLは著しく低下する。本研究はタバコの構成主成分の1つであるニコチンをターゲットに実験を遂行し、ニコチンが口腔がん細胞の増殖促進に有意に関連することが示された。さらなるエビデンスの集積は必要であるが、本成果は基礎的な分子メカニズムの解明に基づく禁煙の啓蒙につながり、健康長寿の観点からも社会に貢献しうると考える。
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