配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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研究概要 |
本研究は,数学科授業においてみられる教授行動と学習行動の連関について,ビデオ記録による授業データ及び授業者や学習者に対する授業後のインタビューデータの分析によって得られた知見を,国際比較を通して考察することを目的に進められた。研究の結果,以下のような成果と,今後の展望が得られた。 1.日本を含む5カ国の授業データについて,教師の教授行動に対する生徒の学習行動の対応,教室における規範の形成,社会的な意味構成などに焦点を当てて分析した。その結果,数学科授業には多様な社会・数学的規範が関わっていること,授業者が板書を通して学習者の学習行動を教授行動に関連させていること,学習者は「自力解決場面」で授業の展開に意味づけを与えるための基点となる活動を行っていること,教授学習行動が互いに関連しながら授業が進行する様相などが明らかになった。 2.授業者と学習者の授業に関する知覚の差異とその授業事象に対する意味を実証的に探求すること,「集団思考」として特徴づけられる授業の過程とその構造を授業者と学習者の両者の立場から明らかにすることなど,本研究の分析結果に基づいて,今後の授業に関する国際比較研究の検討課題を同定した。 3.本研究は,国際比較研究プロジェクトの一環をなすものとして,分析対象を中学校第2学年の数学科授業としてきたが,本研究で得られた成果をより精緻化し,妥当なものとするために,今後,小学校の算数科授業を対象として展開することが考えられる。そのためには,学習者を対象としたインタビューの手法の改良,分析枠組みの再構築など,新しい方法論検討が必要であり,今後その作業を進める必要がある。
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